日本の食生活にヨーグルトがなじんできたのは、戦後といわれています。その前の明治時代にも「凝乳」という名前で整腸剤として売られていましたが、あくまでも「薬」としてでした。しかし世界では古くからヨーグルトが食べられ、その土地ごとに牛乳だけでなく、ヤギやヒツジ、ラクダや馬などのさまざまな種類の乳が原料となったヨーグルトが食されてきました。まだ科学が発達していないころ、昔から人々は経験的にヨーグルトが健康と美容に優れた作用を持つことや、長寿の源になることを知っていました。腸を整えるほかにも健康や美容にいい2つの理由をご紹介します。
牛乳の栄養素がバランスよく含まれる
完全栄養食といわれる牛乳の栄養素をそのまま、またはそれよりも有効な形で受け継いでいるのがヨーグルトの大きな特徴です。牛乳は人間にとって必要な栄養素を、ほぼ完ぺきに含んでいます。ビタミンCこそ含まれていませんが、良質のたんぱく質やビタミンA、B2、カルシウムが豊富に含まれています。牛乳に含まれるタンパク質は胃壁を守り、カルシウムが骨粗しょう症を予防し、ビタミンが美肌を作ります。そして牛乳に含まれる乳糖は腸内のビフィズス菌の増殖を助ける働きがあり、免疫力をアップさせます。
乳酸菌や乳酸発酵で多くの美容効果が発揮
ヨーグルトの優れた点として見逃せないのが「発酵食品」であるというところです。味噌や醤油、漬物なども発酵食品として非常に日本人に身近ですが、ヨーグルトの場合は、乳発酵によって作られた物質に、さまざまな健康効果が認められています。乳酸発酵の物質とは、乳酸菌が牛乳に含まれる乳糖を分解して作り出す乳酸や酢酸のことです。これらの酸は腸を刺激して便秘を予防する効果があり、また悪玉菌は酸に非常に弱いため腸内環境を良くする働きもあります。さらに、乳酸発酵生成物の中には、血圧を下げたり血中コレステロールを低下させる働きもあります。
乳酸カルシウムという成分について
牛乳に含まれるカルシウムはヨーグルトになると乳酸カルシウムという体が吸収しやすいカルシウムになるので、栄養素を効率よく摂取できるのも大きなメリットです。消化の弱くなったお年寄りも、カルシウム補給をするなら牛乳よりもヨーグルトの方が少ない量で効率的にカルシウムを体内に取り込むことができます。タンパク質や鉄分に対しても同じように吸収のいい形に変化したのがヨーグルトです。
乳酸菌そのものはよくても・・
乳酸菌そのものにも素晴らしい働きがたくさんあり、腸内の有害物質を排泄したり、体の免疫力を高めるなどいいこと尽くめ。時々、牛乳を飲むとお腹をこわすという人、特に男性に多いのですが、こういった人は「乳糖不耐症」かもしれません。しかしこういった乳糖不耐症の人でも乳酸菌に含まれる酵素は乳糖を分解してしまうため、ヨーグルトなら安心して飲むことができます。