年齢は関係ない!若い人と中高年に多い網膜裂孔・網膜剥離とは

網膜は、眼球の奥にあり、ちょうどカメラのフィルムのような役割を果たしています。網膜には光を感じる「視細胞」があり、そこに映った像が視神経を通って脳に送られます。「網膜裂孔」は、この網膜に孔が開いたり、裂け目ができたりする病気です。これに対して、網膜がはがれてしまう病気を「網膜剥離」といい、視野の欠損や視力低下などの症状があらわれてきます。網膜剥離には網膜裂孔から移行して起こるタイプと、それとはまったく関係なく起こるタイプの2種類があります。網膜は裂孔が原因となるタイプのことを「裂孔原性網膜剥離」といい、網膜剥離の9割を占めています。網膜剥離は20歳代の若い人たちと50歳以降の中高年に多いのが特徴です。また近視の程度が非常に強い人も網膜剥離を起こしやすいことが分かっています。網膜剥離の原因とは若い人の網膜剥離は、もともと網膜に変性した部分や萎縮した部分があり、網膜が薄くなっているために起こります。一方、中高年の網膜剥離の多くは、加齢によって起こる「後部硝子体剥離」が関係しています。後部硝子体剥離の原因とは、眼球の内部には硝子体というゲル状でほぼ無色透明の組織があります。そのほとんど99%が水分で、残りはコラーゲン組織などでできています。若い頃はこのゲル状の部分が満たされて張りがありましたが、加齢によって水分とゲル状の部分に分離してしまいゲル状の硝子体は委縮していきます。委縮することで硝子体と網膜の接着している部分がはがれ、硝子体は網膜から離れます。網膜裂孔は、後部硝子体剥離が起こるとき、網膜が硝子体に強く引っ張られるとその力によって網膜に裂け目ができたり、穴が開いたりすることです。網膜剥離は網膜裂孔により、網膜の最も外側にある「網膜色素上皮細胞」」とその内側の網膜の間に眼球内の水分が入り込み、はがれてしまう状態です。網膜裂孔や網膜剥離は眼球に強い衝撃が加わることでも起こります。ボクシングの選手などに起こりやすく、衝撃によって硝子体が動き、網膜との接着部分が強く引っ張られることが原因になります。網膜裂孔・網膜剥離の症状は網膜裂孔や網膜剥離は痛みなどが伴うなどの自覚症状はありません。そのかわりさまざまなサインを示します。●飛蚊症(ひぶんしょう)目の前を糸くずや虫のようなものがちらついて見える症状です。特に心配のない生理的なものと、網膜裂孔に伴うものがあります。網膜裂傷による飛蚊症は、網膜からの出血が起こり、墨を流したような影が網膜に映るために起こります。黒っぽいものが急にいくつもちらつきだした場合は、網膜裂孔が起きている可能性が考えられます。●光視症(こうししょう)暗い部屋の中にいるときや目を閉じているときなど、光のない状態で光を感じる症状が「光視症」です。硝子体によって網膜が引っ張られて、神経細胞が刺激されて起こる現象で、網膜裂孔のサインとなることがあります。●視野欠損網膜剥離が起こると、はがれた部位に応じて「視野欠損」が起こります。網膜の上の方がはがれると、視野の下の方が見えなくなります。●視力低下網膜剥離が、物を見る上で重要な働きをする黄斑部にまで及ぶと、視力が急に低下します。

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