「漢方医学」についてわかりやすく解説をしていきたいと思います。
第六回目の今回は、漢方医学の「寒熱」についてみていきましょう。
「寒熱」と聞くと、「熱」という言葉が入っていますので、
体の「体温」のことかなと考える人もおられるかと思います。
ですが、実はそうではなく、「寒熱」とは
病気の性質が「寒」なのか「熱」なのかと
判断する「証(しょう)」のことを表しています。
「寒証」は、寒邪などを受けた時にあらわれます。
手足が冷え寒さを感じることが多くなります。
「寒証」の中には、「表寒」、「裏寒」、「虚寒」、「実寒」があります。
「熱証」は、熱邪などを受けた時にあらわれます。
体は熱さを感じ、できるだけ体を冷やしたくなります。
「熱証」の中には、寒証と同じようにそれぞれ
「表熱」、「裏熱」、「虚熱」、「実熱」があります。
寒証の風邪と熱証の風邪
例えば、ひとくちに「風邪」といっても、
「寒証」の風邪であれば、顔色が悪く、
ゾクゾクと寒気がし、手足が冷えて何か温かい飲み物などが
飲みたくなるようなものなどがあります。
一方、「熱証」の風邪であれば、顔や体があつくほてり
汗が出たり、38度以上の高熱が出て口が渇き、
何か冷たいものを食べたり飲んだり
したくなるようなものなどがあります。
このように、自覚症状などによって、
「熱証」なのか「寒証」なのかを判断することが
漢方医学では大変重要となります。
「寒証」のものは悪寒がするようなものが多いので、
重ね着をしたり、カイロ、暖房、湯たんぽ
などを使って体を温めると症状が緩和されたり、
改善することが多いです。
一方、「熱証」のものは自覚症状として
熱感がありますので、頭などを氷枕やぬれタオル
などで冷やしたりして体の熱を取り除くと
症状が緩和したり改善することが多いです。
寒熱が散在する場合
「寒熱」は、時には体の中で散在する場合もあります。
たとえば、上半身はあつくてのぼせた感じなのに、
下半身は冷えて、足先などが冷たいような場合もあります。
<熱が上半身にある場合>
「熱」が上半身にある場合には、目の充血や頭痛や頭重、
のどの痛みなどがおこることが多いです。
<熱が下半身にある場合>
「熱」が下半身にある場合には、足全体にむくみがでたり、
便が固くなり便秘気味になることが多いです。
<寒が上半身にある場合>
「寒」が上半身にある場合には、胸がつかえたり、
消化不良をおこしたりすることが多いです。
<寒が下半身にある場合>
「寒」が下半身にある場合には、足が冷え、
腹痛や下痢に悩まされることがあります。
また、上半身と下半身などで寒熱が違う場合だけではなく、
体の表面と体の内部で違う場合も考えられます。
このように、漢方医学では同じ病名であっても、
体の症状によって証を判断し、
それぞれに対応した治療をおこないます。
次回は「五臓」についてみていきたいと思います。
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