第九回目の今回は、漢方医学の「証」についてみていきましょう。
四診・証とは
漢方医学では、西洋医学とは違う診断方法があります。
「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」
「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」
の四種類の診断方法があり、これらを総合して
「四診」といいます。
これらの四診をもとにして、これまでにご紹介してきた
「陰陽論」や「五行論」などの理論を組み合わせて考えます。
その人の五臓六腑、気血津液、気の陰陽の状態などを
判断して体全体の状態を総合的に判断し、
評価する「証(しょう)」が決まります。
「証」が決まれば、おのずと治療法も決定されていきます。
四診の方法
四診には「望診(ぼうしん)」「聞診(ぶんしん)」
「問診(もんしん)」「切診(せっしん)」の四種類からなる
診断方法があるということをご紹介しました。
では、実際にどのように診断をするのかを
詳しくみていきましょう。
・「望診」
「望診」は、患者さんの状態や動作などを見ることによって、
詳しく観察する診断方法です。
パッと見た体型や患者さんの動作、
顔色だけではなく、舌を出してもらって、
舌の形や色、状態などもみます。
分泌物や排泄物などの変化をみることもあります。
・「聞診」
「聞診」は、患者さんの声や呼吸音の状態や、話し方、話し声、
咳はどのような音なのかを詳しく聞いておこないます。
「聞く」の「聞」という漢字がついていますから
耳を使うだけのように感じる人もおられるかと思いますが、
実際には、体臭や口臭などのにおいをかいだりして
判断することもあります。
・「問診」
「問診」は西洋医学にもありますので、
聞いたことがあり馴染み深く思う方も
いらっしゃると思います。
患者さんが感じている自覚症状(熱や痛み、調子の悪さなど)や、
これまでの病歴、既往歴、家族歴、生活習慣
などを質問していきます。
患者さんのさまざまな情報を集める診察です。
・「切診」
実際に患者さんに触れることによっておこなう診察法をいいます。
「腹診」は、実際に患者さんのおなかに触れておこないます。
筋肉がどのように緊張しているのか、
内臓の状態はどうなっているのかなどを
触れて確認します。
「脈診」は、患者さんの脈に触れて脈の状態を感じ取ります。
このように患者さんを観察したり病状を聞いたりなどする
「四診」をすることによって、治療にとって大切な
「証」が決まり治療法が決まります。
次回は、「脳の衰えは腎の衰えから」のテーマで
漢方医学をご紹介したいと思います。
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